GAFAに従属しないAI戦略とサブスク型ビジネスについて

私も投資しているアマゾンやグーグルがリードする「音声AI(人工知能)」や多くの自動車メーカーが取り組む「自動運転」などが今後の経済の中心になることが期待、予想されていますが、新しい目線でのAI戦略と銘打った興味深い記事を読みましたので感想を記載しておきます。

GAFAに従属しない韓国LG電子のAI戦略

記事の内容は、家電見本市「CES」のスクラムベンチャーズ代表宮田氏のレポートで、韓国LG電子による総合家電メーカーの特長を生かしたAI戦略についての基調講演です。

洗濯機はふだんの利用状況を絶えずトラッキングし、衣類の量や時間帯などで洗濯のモード、洗剤の量などを自動で最適にする。加えてカレンダーの予定から推測し、洗濯の終了時刻のコントロールもするという。冷蔵庫はテレビで見た番組の情報と残っている食材の情報からディナーのレシピを提案し、足りない食材がある場合は自動でオーダーもしてくれるという。

これらはユーザーインターフェースをガラッと変えてしまう音声AIほどは目新しくはないかもしれないが、我々が日々の生活の中で多くの利用時間を費やす家電をAIで確実に進化させようとする取り組みといえる。

さらに、こうした家電によって日々蓄積される利用データを、自社の家電での活用にとどまらず、ThinQプラットフォームとして世界中の開発者に公開することも発表した。(出典: 日経産業新聞 2019/1/24付)

日々の蓄積されるデータを公開しビジネスに繋げていく、という点が、総合家電メーカーの強みを活かす戦略として興味深く思いました。

恐らくGAFAのAIテクノロジーが今後の世界を席巻することになると思いますしそれを超えるAI技術の開発、というのは現実問題難しいのではないか、と思いますが、あえてAI技術で上を行くことを考えるのではなく、それらを賢く利用しつつ、自社(メーカー)の強みとしてのその蓄積データを公開する、という強みにフォーカスして戦っていく、というのは今後の日本の(主に家電)メーカーにとって、一つ大きな指針となる戦略なのでは?と思いました。

顧客と深い関係を築けるか?サブスクリプション(サブスク)型のビジネス

この記事を読んで思ったことは、サブスク型ビジネスです。最近とくにこのキーワードを新聞などのメディア目にする事が多いように思います。例えば最近の日経で読んだ以下の記事などです。

毎月定額を払うサブスクリプション(サブスク)型のビジネスにより企業は安定的な収益を見込むことができ、将来の見通しも立てやすくなる。料金を低く抑えれば、新たな顧客の獲得機会も広がる。実際、同社は米国の高額なCATVの料金を嫌う利用者を取り込む形で成長し、同社に倣おうとする企業が後を絶たない。

対象はコンテンツに加えて企業向けのソフトやIT(情報技術)サービスにも広がり、洋服、雑貨といった消費財などでもサブスク型のビジネスが相次ぐ。20~30代の「ミレニアル世代」を中心にモノの所有から利用へと関心が移っていることが追い風となり、市場規模は米国だけでも2021年に円換算で50兆円を上回るとの予測がある。(参照: 日経記事 2019/1/28付)

興味深いのは従来型のBtoCのサブスクのみならず、企業向けのサブスク型ビジネスが相次いでいるとのこと。

これは冒頭に述べた自社固有のユーザーデーターを(GAFAのAI技術を利用しながら)蓄積、必要とする他企業にサブスク型で提供する、ということでビジネスを伸長させる、という新規ビジネスモデルに繋げるという点で、現在を生きるサラリーマンとしては、注視する点かと思います。

ただ、上記記事では以下注意も述べられています。

ただ、サブスク型だからといって必ずしも顧客がすぐ受け入れるわけではない。例えば米ゼネラル・モーターズ(GM)の高級車ブランド「キャデラック」が17年に始めたサービス。毎月1500ドルの支払いで好みの車種に乗ることができ配車や交換は無料という内容だったが、昨年末にサービスを中断した。「内容を見直す必要があると判断した」とマーケティング担当のクリストファー・スミス氏は語る。

日本でもスタートアップ企業が手がけるカミソリの刃の定期購買やネクタイのレンタルが姿を消した。昨年末にスーツのレンタルをやめたAOKIホールディングスは「既存店への送客などで効果を得られず、コストもかさみ黒字化が見込めなかった」という。

何が明暗を分けるのか。サブスクの課金システムなどを提供するズオラ・ジャパン(東京・千代田)の桑野順一郎社長は「カギを握るのは変化を続ける利用者のニーズへの対応」と指摘する。重要なのはサブスクにより利用者と長く深い関係を築き、それを活用して複数年にわたって収益をあげながら、追加的なサービスの提供や情報活用で付加価値を生み出すことだ

たしかに1500ドル払って車には乗らんなぁと思いますし、いかに利用者のニーズを的確にとらえて、利用者に離れられない深い関係を築けるか、というのが付加価値戦略で避けては通れないポイントになるのだと思います。

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